お知らせ

2020年02月04日

【調査速報】200201乗鞍岳・雪崩事故

2020年2月1日に乗鞍岳(長野県松本市)で発生した雪崩事故の現場調査と関係者からの聞き取りを行いましたので、速報としてお知らせ致します。数値等は速報値ですので、この後、変更される可能性もあります。

●事故データ●
日 付: 2020年2月1日
時 刻: 12時30分頃
場 所: 乗鞍岳(地形図
概 略: 乗鞍岳で山スノーボードをしていた男性が登行の最中に雪崩に巻き込まれ埋没。同行者(2名)によってすぐに救助されたが、その後、搬送された病院で死亡が確認された。

乗鞍岳・地形図(国土地理院)

●雪崩データ●
種 類: 面発生乾雪表層雪崩(持続型スラブ)
規 模: サイズ2.5 (流下距離250 m)
標 高: 2,610 m(上部破断面)
方 位: 東
破断面: 幅70 - 80 m、厚さ20 - 30 cm前後
傾 斜: 発生区中間部 35度
弱 層: こしもざらめ雪(1-2 mm)
すべり面: 氷板
※積雪観察は2月2日に実施。

●行動●
ボウル状地形の尾根を登行している際、先頭で歩いていた男性がA地点にて滑落し、B地点にて停止。幸い怪我もなく、登っていた尾根に復帰しようとC地点まで来た時、大きな音と共に雪崩が発生。ボウル全体が雪崩れ、男性は約3 mの深さに埋没(✕)。同行者2名による捜索救助により、約15分で掘り出すも意識不明。その後、ヘリコプターにて病院に搬送された。
 
赤点線が概ねの破断面のライン

 
●補記●
「降雨によって雪面が凍り、その上の新雪が滑るようにして雪崩れる」という表現はよくある間違いです。今回の雪崩は、再結晶化した雪(※)が歩く刺激で破壊され、発生しました。また、雪崩のすべり面は1月7日~8日にかけてのまとまった降雨あるいはその後の降雨によるものと推定しており、雪崩の原因となった弱層は、一定期間、積雪内に潜んでいたことになります。(※水蒸気が積雪内の温度差によって移動することで、雪粒子に霜が付き、雪粒子同士の結合力が低下)
 
再結晶化した雪の不安定性は、最初の刺激(今回は滑落)では雪崩を起こさず、複数人が滑走した後、その斜面全体が崩落する、といった事例が多々あります。積雪テストの結果もバラつくことが多く、雪崩対策の現場で働く実務者にとっても、取り扱いが厄介な雪崩です。
 
注:降雨について地元ガイドより指摘あり、一部表現を修正しました(2/4)