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『雪崩通信 vol.2』

『雪崩通信 vol.2』 『雪崩通信 vol.2』 体裁:A4版, all 4色, 40頁
発行:特定非営利活動法人日本雪崩ネットワーク
定価:1,000円(税込)

一般的に「雪崩事故は、雪崩発生の危険度が高い時に起こっている」と考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、人が誘発するタイプの雪崩事故は、雪崩危険度が中程度の時に、初心者ではなく経験者によって、多く発生していることを、統計データは示しています。雪崩のプロは、これを「High danger isn’t high risk.」と表現します。そしてこれは、雪崩教育および雪崩情報に関わるプロにとって大きな課題であり、ISSWといった国際ワークショップでも個別テーマとしてディスカッションされています。

 また、雪崩情報と一口にいっても、国によって違いがあります。国家が進めるフランスやスイス、非営利団体のカナダでは、そのバックボーンや社会背景、そして技術水準、精度等も異なります。日本の公的な雪崩情報は、気象庁の雪崩注意報だけですので、ISSWやInfoExの記事から、その辺の一端を読み取って頂き、日本にあったシステムを考えるヒントにしていただければと思います。

滑りたい特定斜面の雪崩危険度を考える際、弱層テストで判断する、という方法論は、1980年代半ばにあった事故が契機となって、欧米ではかなり前に放棄されています。弱層テストの結果を過大視しないための簡単な記事を掲載しました。vol.1 に掲載した「人が誘発する雪崩」についての包括的な記事とあわせてお読み頂ければと思います。

 日本は樹林帯でのパウダー・ライディングに素晴らしい場所を多く持ちます。そのような環境の中で、樹木が教えてくれる雪崩の履歴について知ることは、山をさらに深く理解することになります。槍平雪崩事故現場における変形樹の調査報告はとても興味深い内容です。

 八方尾根・無名沢での雪崩事故は、低気圧の通過に伴う降雪結晶が弱層となった事例ですが、破断面の調査および事故前後に周辺域で観測されていたデータから、その不安定性の考察をしています。雪崩を発生させた不安定性の原因は、実際に破断面で調査し、弱層や滑り面を特定することが基本ですし、さらに周辺域での積雪データがあれば、それを立体的に理解できるようになります。

 

『雪崩通信 vol.2』PDF版がダウンロードできます。 ダウンロードはこちらから。

vol. 2 contents

Intro:

・High danger isn’t high risk. -雪崩リスクマネジメントにおける意志決定の信頼度-

Report:

・ISSW2009 EUROPE -国際ワークショップにおける雪崩教育関連の報告-

・InfoExについて -カナダの雪崩業界内における情報交換システム-

・山岳の気象 -トムラウシ遭難時における気象現象-

Research & Education:

・生ける雪崩記録計としての変形樹 -槍平雪崩事故現場における樹林調査報告-

・日射による温度上昇は乾雪面発生雪崩の一因となるか? -経験的に知られている現象に対する考察-

・スノーモビラーが関与する雪崩事故が増加に転じた -カナダにおけるスノーモビラーに対する雪崩教育の現状-

Basic Knowledge:

・弱層テストについて -テスト結果を過大視しないためのいくつかのヒント-

Incidents:

・八方尾根無名沢で発生した雪崩事故 -グループの行動と破断面調査および不安定性の考察-

・スパンティーク雪崩事故 -パキスタン7000m峰でのインシデント-

Field Report:

・降雨と湿雪雪崩 -NZのスキー場での事象-

Season Roundup:

・2009シーズンを振り返る -1.冬の気象概況 2.雪崩インシデント